桃太郎少年合唱団入団をご検討くださる方々へ(保護者目線から)

私の退団から40年を経て、息子が入団しました。当初は自分がOBであることから、ついついOB目線で見てしまいがちでしたが、何年か過ごすうちに、保護者目線でも見られるようになりました。

そして、保護者目線の情報というものがほとんど世に出ていないことが分かりました。かつてのブログにはそれを反映させていたつもりで、保護者たちが書いた記事はアクセス数も多く、人気でした(右カラムに当該ブログへのリンクを貼っています)。これは、入団検討における保護者の発想や思考の重要性を示しています。数年前にそういうチラシを作りましたが、それはさておき、以下、3つのキーワードから書いてみます。

海外遠征 (@_@)

今年(2017年)のチラシはまだ見ていませんが、例年のチラシと同傾向のデザインだったら、おそらく海外遠征のことが書かれているでしょう。

息子の小学校では「桃太郎少年合唱団は毎年海外遠征するから、年間100万円以上かかる」という噂が流れていたし、他の小学校でも「桃太郎少年合唱団はお金がかかる」という噂があったりしたそうで、そのせいで入団を躊躇したり断念したりする人がいたみたいです。我が家の場合は、息子の入団を知った息子の友人の親から「桃太郎なんかに入って、お金は大丈夫?」と心配されました。たしかに毎年毎年海外遠征に行くのだったら、ぜったいに入団させなかっただろうと思います。お金だけじゃなく、治安の点でも。

毎年の海外遠征は、ちょっと調べれば簡単に分かる誤解ですが、6年前にこのブログを始めるまでは、身近に団員がいない人にとっては事務局に直接問い合わせるという心理的ハードルが高い方法しかなかったので、「ちょっと調べる」こと自体が困難でした。

たしかに桃太郎少年合唱団は数回の海外遠征を経験していますが、息子が入団した2010年の時点では、海外遠征するという声はもはや聞かれなかったし、その後の治安悪化や事故への不安から海外への修学旅行をとりやめる学校が増えている中、さすがに桃太郎少年合唱団も海外遠征を考えたりはしないでしょう。過去の栄光(そんなものあるの?)にすがる人が強行しようとしても保護者たちが猛反発するか、参加希望者がほとんどいなくて頓挫するだろうと思います。

実際、ご自身の経験から「海外遠征の話は入団検討の障害になるから、外部に向かって言い過ぎないほうが良い」と言う保護者も少なからずいるくらいです。何年か前に作らされたチラシでは、保護者の意見を採り入れて、海外遠征について大げさに記しませんでしたが、いつの間にか元にもどってしまいました。そんな経緯もあるので、みなさまも入団検討にあたっては、海外遠征は昔話であると考えてください。

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軽率な人は、私が海外遠征という行為を否定していると思うでしょうが、そうではありません。

たとえば、ブロードウェイのステージにも立つミュージカル俳優・演出家・作家・指導者であるOB四宮貴久氏は、桃太郎少年合唱団の海外遠征によって海外へのハードルが低くなったことも自分の留学を後押ししたと、50周年記念演奏会でのインタビューで言われていました。私の時代はまだ1ドル360円の固定相場制だったから海外なんて夢のまた夢で、四宮氏の時代をうらやましく思った反面、後輩たちが桃太郎少年合唱団設立以来の夢を実現してくれたことを誇らしく思っています。

私はヨーロッパに行くと、クリスチャンではないのに教会のミサに潜り込みます。目的は言わずもがな、オルガンや聖歌隊を聴くためです。あいにくと教会で少年合唱に遭遇したことはありませんが、建築物の空間体験と一体化した音楽体験はほんとうに素晴らしいです。トルコのモスクで聴いたイスラム教の説教もとても音楽的でした。自分もあのような大空間で歌ってみたかったと思います。だから、今の団員たちが、安く、安全に海外に行くことができるのであれば、毎年でも行かせてやりたいというのが本音です。

ところで、今ではインターネットを使って、自ら足を運ばなくても海外の人たちに聴いてもらえるから、「世界中の人に聴いてもらう」ために彼の地に赴くことにこだわる必要はありません。日本国内であっても演奏旅行に行くチャンスがないであろう場所の人々にも聴いてもらえます。世界中の、少しでも多くの人に聴いてもらうという観点からは、自ら赴くより、YouTubeなどオンラインで配信を利用した方が効率的です。

※つい先日まで桃太郎少年合唱団の演奏をYouTubeで公開していましたが、団員たちのプライバシー保護に関わる諸問題を解消できないままなので、私の目が黒いうちに(=私が保護者として桃太郎少年合唱団に関与できるうちに)、公開を中止することにしました。

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いいところのお坊ちゃん (@_@)

7期生であった私の親くらいの世代の人で「桃太郎少年合唱団はいいところのお坊ちゃんしか入れない」という人が少なからず存在するようです。

「いいところのお坊ちゃん」が具体的に何を意味するのかよく分からないし、「いいところのお坊ちゃん」と上に書いた「桃太郎はお金がかかる」というデマがリンクして「お金持ちの家のお子様」だと勘違いする人がいるかもしれませんが、「お金持ちの家のお子チャマ=いいところのお坊ちゃん」は、「偏差値が高い学校に行っている=頭が良い」と同じくらい眉唾な定理であることは、皆さん、よくご存知のとおりです。それはさておき、当時は入団テストが行われ、学校の成績も審査に使われたので、今と比べると明らかに様相は異なりました。練習も週2回だったから、練習場の近くの子どもたちとか、交通機関が便利な場所の子どもたちが多かったと思います。そんな中に、ほんの一握りの「いいところのお坊ちゃん」ではないかと感じられる団員が存在したことは事実です。楠木正成に名字をもらったという家系の同期生がいて、カッコイイなぁと思っていました。

もし「いいところのお坊ちゃん」認定されるための条件のひとつとしてお行儀の良さをあげたとしたら、確かに、それなりのお行儀の良さは必要です。そうでなければ、日々の練習にも、人様のために歌う2時間のステージにも耐えられないでしょう。私の時代に行われていた入団テストはそのためのフィルタリングをかねていたのかもしれませんね。でも、いまは幼稚園児や小学校低学年の子が入団するケースが増えているので、その年齢として求められる以上のお行儀の良さは必要とされないと思います。入団時はやんちゃ坊主だった子も、だんだんと団員として必要なお行儀の良さを獲得していきます。自分よりちっちゃい子が入ってくると、みんな「お兄ちゃん」になるわけです。これとは逆に、おとなしくて目立たなかった子がやがてはリーダーシップをとる存在になっていくなど、親として「桃太郎に入れてよかった」と感じるシーンは多いと思います。我が子もずいぶん成長させてもらいましたが、親ではなくOBとしては変声前にやめると思いこんでいたので、まさか高3まで残るとは思っていませんでした。いつやめるかは自由で、小学生でも、合唱以外に打ち込みたいからとボーイソプラノの絶頂期に卒団する子もいます。もしそれが我が子だったら、親としては「よく決めた!」と褒めてやるでしょう。

男の子だけ!!! (^_^)v

団員生活における私の時代と今との最大の相違は、人数と年齢構成だと言えます。私の時代は、団員数100名程度、小学校3~6年がほぼ100%、つまり平均的には同学年が25人つまり1クラス分くらいいたので、年代を超えた交流は少なく、全員の顔と名前は一致しませんでした。一方で、現在は、小学校低学年から高校3年生と幅広く人数も少ないので、和気あいあいとした年代を超えた交流があります。100名からなる合唱を経験した私にとっては、合唱団という視点からは物足りなさを禁じえませんが、保護者として見れば、少人数だからこそ可能な良い経験ができていると思います。

昨年、サントリー文化財団が桃太郎のビデオを作ってくれ、現在もYouTubeで公開されています。そのときの取材で撮影した全データを取材にあたったディレクター氏のご厚意で頂戴したので、YouTube動画には入っていない団員たちへのインタビューだけをとりだした動画をつくりました。プライバシー保護の観点からインターネットでの公開はできないので、データをDVDに焼いて団に差し上げたので、ご興味があれば、団の事務局で御覧いただけると思います。

それから、インタビューを受けた団員たちに共通していたのは、「男の子だけ!」が楽しい、嬉しい、良い、という点です。たしかに、現代では「男の子だけの集団」を経験する機会が少なくなっているので、これもまた得難い経験となるでしょう。

私の息子は、桃太郎少年合唱団に入る前に、小学校のコーラスクラブに入りましたが、そのクラブに入るにあたって、かなり悩んでいました。メンバーが女の子ばかりだったからです。歌が好きな男の子にとって、桃太郎少年合唱団は最高に居心地のいい場所です。

変声しても退団せずファルセットで歌い続ける子が多いのも、居心地の良さが影響しているのではないかと思います。この年頃になると、在団し続けるかどうかは子供自身の意志で決まります。変声までは親の意思で在団させてもらえるとボーイソプラノの人数確保という点でとてもありがたいですが、変声後は本人の自由だから、高3までの在団が許容されていても、もっとやりたいことを見つけたり、自分と合唱との関わりに(良い意味で)見切りをつけた子たちは退団していきます。

 

 

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