Les Essais d'un ancien membre de "Momotaro Boys Choir"

カバさん

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1970年半ばごろ、高校時代の修学旅行の帰路、新幹線の中のできごとです。

同学年に私を含めて6人いた桃太郎少年合唱団OBの一人が、興奮した面持ちで「グリーンにカバさんがいる!」と隣の車両から駆け込んできました。車中を探検していたらグリーン車でカバさんを発見し、大慌てで知らせに来たとのこと。OB以外はキョトンとしていましたが、私たちOBは「カバさんが!」と興奮しながら、カバさんが乗るグリーン車に向かいました。(そのとき一人だけ見つからなかったのですが、みんな気が急いていたので彼を探すことよりカバさんに会うことを優先してしまいました。)

グリーン席の中程にカバさんの姿が見えました。カバさんは押し寄せる制服の高校生たちに何事かと驚かれたようですが、仲間の一人が「桃太郎の、、」と言った途端に昔と変わらないニッコニコの笑顔を見せてくださいました。少しお話をして、記念写真を撮りました。このときの写真は私の宝物です。

自分の車両に帰ったら、さっき見つからなかった一人の姿がありました。「カバさんがいたからみんなで会いに行った」と伝えたら、「どうして僕に声をかけてくれなかったのか」と地団駄踏んで悔しがりました。でも、もう一度押しかけるのは憚られたので、彼はカバさんには会えずじまいでした。

カバさんとは加藤武徳さん、私達が入団したときの理事長で当時の岡山県知事です。カバさんは、クリスマス会にはサンタクロースに扮して参加してくださいました。みんな、カバさんが大好きでした。

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ところで、「カバさん」で通じてしまうことが我々世代の仲間である証です。私達が6年のとき県知事が変わり、カバさんは理事長ではなくなりました。次の知事は、クリスマス会には現れませんでした。

初期のOBにとっては桃太郎少年合唱団の設立者である三木氏(カバさんの前の岡山県知事)の印象が強いようですが、すでに7期生の私達の時点で「三木さんって誰?」という状態でした。親たちは三木さんを評価していたし、桃太郎少年合唱団に関して三木さんの名前を聞くことは少なからずあったと思いますが、子どもたちにとってはサンタクロースになってくれるカバさんが誰よりも大切な人でした。

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