岡山トヨタチャリティーコンサートの素敵なチラシ、デザインとアートの違い

2017_1223・岡山トヨタ presents チャリティーファミリーコンサート (1)昨年に引き続き、今年も12月23日(土)に<岡山トヨタ presents チャリティーファミリーコンサート>が開催されるそうです。素敵なチラシですね。入場料は交通遺児のために寄付されるとのことなので、クリスマスのショッピングがてら、ぜひ足をお運びください。桃太郎少年合唱団も出演します。

詳細情報(岡山トヨタさんのホームページ)
→ http://www.okayamatoyota.com/news/

去年も同じ趣旨のコンサートがあり、桃太郎少年合唱団も出演しました。チラシは今年のとほぼ同じでゲストの写真が異なっていました。いずれにしても、よくこなれた、素敵なデザインです。さすがは世界のトヨタです。

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桃太郎・201601224・ミニコンサート・チラシ最終_h400

去年の定期演奏会のしばらく前、トヨタのコンサートの前日に桃太郎少年合唱団のクリスマスミニコンサートが開催されることが突如として決まった結果、チラシとポスターづくりを依頼されました。いつものようにボランティアなのはしょうがないとしても、印刷所に送るまでに3日しか時間がなく、もちろん、その間、当然自分の仕事もあったので時間的にはきつい作業です。許された時間内にどの程度できるかは予測できるので、引き受けました。

ふだんなら複数案を並行して作ることによってコンセプトを整理しながら、ひとつに絞り込みますが、今回はそのような時間の余裕はもちろんありません。トヨタのチラシを見てぱっと頭に浮かんだアイディアをもとに構想を練るところから始めてほぼ2時間でほとんど終わらせ、その後、空き時間に数分単位のリファインを繰り返した3日間でした。オブジェクトをコンマ数ミリ単位で動かしたり、色の値をちょっとずつ変えながらバランスを整えていくリファイン作業はとても重要です。

さて、一般的なクリスマスのイメージ色は赤と緑だと思います。トヨタのチラシはそれを基調としながら、穏やかな華やかさと、暖炉のような暖かさが伝わってくるデザインになっています(それでいてそのままサイズの大きなポスターに使っても問題なしという優れたデザイン)。私は、クリスマスコンサートのチラシを頼まれる前にトヨタのチラシを見ていたので、トヨタと対照・対比させる方向でデザインしました(対照・対比はごくありふれた手法です)。トヨタと比べるとかなり野暮ったいですが、半分以上は時間不足が要因だと思ってください。でも色覚特性への対応もそれなりに盛り込んだつもりだし、保護者さんたちの評判もよかったので、自分なりには満足できました。当初は事情があって私が作ったことは内緒にしていたので、直接関わった2人しか知りませんでした。ところが、ある保護者さんに見抜かれそうになって焦りました。Pourquoi ?

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トヨタのチャリティコンサートのような大きなイベントでも、桃太郎少年合唱団のミニコンサートのような数十人対象の小さなコンサートでも、チラシ等のビジュアルデザインをしっかりしておかないと、第一段階で人々の興味を引くことができません。だから集客が難しくなるし、演奏そのものを低く見積もられてしまいがちです。小汚い看板のレストランの食事はきっと不味いだろうと思う、あの感じです。(意図的な小汚さの演出ではなく、本当に小汚い場合の話。)

クリスマス・イブの日に、たった30分のコンサートのために生涯学習センターに足を運ぶ人がたくさんいるとは期待できません。だから、コンサート自体の広報としての意味がほとんどないチラシであることは自明でしたが、定期演奏会とトヨタのチャリティコンサートという大勢が集まる機会にチラシを配ることで、桃太郎少年合唱団がこのような催しを行うことを認識してもらうチャンスとなります。だから、それなりのビジュアルデザインにする必要がありました。

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ビジュアルデザインの質の低さは、凋落感を感じさせます。だから素養のない人が手を出してはいけません。これは、イベント開催において主催者が持っておくべき重要な視点です。「内容が良ければ人が集まる」というのは幻想です。日本のデザイン教育の後進性を考えると、クライアントに素養がない場合は、デザイナーがそれを高めてあげるような仕事をして、少しでも大衆の意識を向上させることが日本のデザインの未来につながるはずです。多くのデザイナーがそのような姿勢で望めば、今後は東京オリンピックのエンブレム騒動のような恥を欠かずにすむでしょう。(エンブレムが恥なのではなく、騒動が恥。

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デザイン系の学部の大学教員を務めていた頃、様々なイベントに関わり、チラシ、ポスター、パンフレットなどを制作しましたが、イベント内容、対象(来場者層)などと考慮したビジュアルデザインを行うのは、知的遊戯としてはとても楽しかったです。知的遊戯の誘惑には抗いがたいものがあります。

ブログやホームページも同様、一種の知的遊戯だからこそ続けられましたが、こういったことを知的遊戯と認識する感覚を理解できる人は稀なようです。

そして、デザインとは理論と客観的判断が必要な高度な知的労働です。その点で、感情の露呈だけで推し進めてもかまわないアートとは決定的に異なります。アートは他と違うことを目指してもかまいませんが、デザインは他より善いことを目指さなければなりません。

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